2022年07月

未怪談 29 駄々をこねる○○

Aさんが昔勤めていた会社で起こった不思議な話です。

その日、Aさんは仕事が終わらず夜遅くまで残っていたそうです。

時間が経つにつれ上司や同僚が一人また一人、

「お疲れさまでした」や「お先に」と帰宅していきました。

終わらない仕事に嫌気がさしていたAさんは、

気分転換に1階の自動販売機に飲み物を買いに行ったそうです。

一服し、エレベーターに乗り、事務所がある6階を押しました。

扉が閉まり、エレベーターが動きかけた時です。

ガタンとエレベーターが止まり、

「その階は行きません」

とエレベーターのアナウンスが。

Aさんは「えっ!」と思い、もう一度押したそうですが、

同じようにエレベーターが動きかけたと同時に止まり

「その階は行きません」

と同様にアナウンスが。

故障と思ったAさんは警備室にエレベーターが故障したことを伝え、

階段で戻ったそうです。

階段で6階まで上がると身体的そして精神的にも気持ちが折れてしまい、

Aさんは「今日はもう帰ろう」となったそうです。

1階に降りるとエレベーター会社が来ていました。

Aさんは警備員に頼まれて、エレベーター会社の方に故障の内容を伝えました。

エレベーター会社の人は、

「音声アナウンスも故障ですね。普通なら『その階には止まりません』って言うはずですからね」と。

Aさんは「その階は行きません」と何度も聞いたので不思議に思ったそうです。

当時は、単なるエレベーターの故障と思っていたそうです。

だけど、改めてAさんはあの時の事を思い出すと、

何だかエレベーターが6階に行きたくないので駄々をこねているように思えたそうです。

未怪談 28 顔認証

Aさんが大学生の時の話です。

その日、友達二人と一緒に肝試しに行ったそうです。

肝試しの場所は、二階建てでもともと介護施設で使われていた廃墟だったそうですが、

とくに怖い噂などなくただの廃墟でした。

当然、何も起こることもなく、すぐに飽きてしまい帰ろうとしたそうです。

Aさんたちは、帰る前にSNSに載せるために自撮りを撮ろうとしました。

施設を背にカメラで撮ろうとした時、顔認識の枠が4つ出てきました。

Aさんと友達二人合わせてその場に三人しかいません。

「もしかして幽霊じゃない?」とテンションが上がっていたAさんたちは、

自撮りをやめ、施設全体が写るようにカメラを向けました。

すると顔認識の枠が、

数十個出ていたそうです。

突然、怖くなったAさんたちは急いでその場を去りました。

一つや二つならカメラの顔認識機能でよく起こるシミュラクラ現象かもしれませんが、

その数が多いと、もしかすると・・・

未怪談 27 そっちを見ないで

Aさんが中学生の時の話です。

その日、Aさんは友達と学校から帰っていました。

いつも通る通学路を何気ない会話をしながら歩いていたそうです。

しばらくすると、あることに違和感に気がついたそうです。

それは友達がずっとしゃべているのです。

独り言ではなく無理矢理会話を引き延ばしているような感じで、

会話が止まりそうになるといきなり「あれ知ってる?」や「あの時さ—――」「そういえば—――」

となんだかAさん自身の気を引こうとしていたそうです。

それとは別にもう一つ違和感がありました。

友達がAさんの左側にいたのですが、

無性に右側の方、誰もいない方が気になって向きたくなったそうです。

ですが、Aさんが右側を向こうとするたびに友達が「でね」や「それでね」と言ってくるのです。

友達の変な行動にAさんは思わず

「どうしたの?さっきからへんだよ」

と訊いたそうです。

友達は

「落ち着いて聞いて。大丈夫って言うまで、こっちを見てて、絶対にそっちを見ないで」と。

突然のことにAさんは困惑しましたが、

友達の言ったように友達の方を見ながら歩いていました。

しばらくすると、友達が「大丈夫」と言いました。

Aさんは何があったのか友達に聞きましたが、

友達は濁すだけで答えてくれませんでした。

今となってはもう真相はわかりません。

ただたんにその友達のごっこ遊びだったのか、単なるイタズラだったのか。

ですがあの時、もしそっちを見ていたらどうなっていたのでしょうか・・・

未怪談 26 ほんとに一人?

Aさんの娘さんが幼稚園に入園する前くらいの話です。

Aさんの娘さんは一人遊びをするタイプでした。

よく家でやっていたことは、おままごとや人形遊びなどだったのですが、

どこかのタイミングで鬼ごっこやかくれんぼのようなことをするようになったそうです。

といっても、娘さん一人で。

Aさんは小さい子によくある空想の友達を作って遊んでいるだろうと思っていました。

ある日、Aさんがリビングで友人と電話していた時、

娘さんの部屋からタッタッタッタッと走り回る音が聞こえたそうです。

Aさんは「また一人で鬼ごっこでもしているのだろう」と思ったそうです。

しばらくするとリビングに娘さんがやってきて、

周りをキョロキョロして別の部屋に入っていったそうです。

Aさんは友人と電話で話しながら、その行動を見ていました。

すると、「もういいよ」と入っていった部屋から娘さんの声がしたそうです。

Aさんは「かくれんぼでもしているつもりなのかな」と思った瞬間、

娘さんの部屋がガチャッと開き、ぺタッ、ぺタッ、と床を歩く音が。

「えっ!」とびっくりしたAさんは、

友人との電話をそのままに音がする廊下の方に。

娘さんの部屋のドアが開いていましたが、あたりに誰もいません。

「ドアは風で開いたのだろう。足音は聞き間違いか」と思いリビングに戻ろうとした瞬間、

リビングからぺタッ、ぺタッ、と足音が。

振り向き、音が続く方を見ると娘さんが入った部屋が。

Aさんはその部屋を開けると中で、

キャッ、キャッ、とはしゃぐ娘さんの姿が。

娘さんはAさんを見るなり「ジュース飲みたい」と言い、

キッチンの方に走っていったそうです。

その後、電話をほったらかしていた友人にこのことを伝えると、

「気のせいじゃない」とか「疲れてるじゃない」と話を流されてしまったそうです。

あの時、娘さんは一人で遊んでいたのでしょうか・・・

未怪談 25 目が合った

Aさんが夏休みに展望台に行った時の話です。

『わが故郷の風景』みたいな絵を描く夏休みの宿題が出たそうです。

何を描いたらいいのかわからなかったAさんは、

「高い所に行けばアイディアが出るだろう」と思い、

友達数人と地元の展望台に行ったそうです。

展望台に着き各々描き始めました。

テキトーに展望台からの景色を描いた
Aさんは他の友達より早く終わり退屈していたそうです。

友達の一人が双眼鏡を持ってきており、

その双眼鏡を借りて展望台から遠くにある街の方を見ていました。

街の方では大きなマンションが建設されていたそうです。

多くの作業員がせっせと言い方が悪いですが、アリのように作業していました。

多くの作業員が働いている中、離れた場所にポツンと男が何もせずに突っ立っていました。

その時、「あれ?」と何となく違和感を感じたそうです。

男はヘルメットをかぶり、眼鏡をかけ、作業着を着ていました。

そして、笑顔でした。

Aさんは一見何もおかしなところはないと思っていたそうですが、

すぐにその違和感に気がつきました。

男はこっちを見ていたのです。

そして、Aさんと目が合っていたのです。

びっくりしたAさんは双眼鏡を下ろし、肉眼でそのマンションを見ました。

もちろん、遠くにあるので、この距離では男の姿なんて見えませんし、

あっちからも見えるはずがないのです。

もう一度、双眼鏡で男がいた場所を見ましたが姿がありませんでした。

たまたま、その時に作業員の方が笑顔で展望台の方を見ていたのかもしれません。

そうじゃなければ、あの男は一体何者だったのでしょうか・・・
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