オフィスビルで働いているAさんの話です。

そのオフィスビルは6階建てで外付けの鉄階段があり、

各階の踊り場が喫煙所のようになっていたそうです。

Aさんは4階で働いていました。

その日、Aさんは帰る前に一服しようと鉄階段の踊り場にいたそうです。

一服していると「カツンッ、カツンッ、カツンッ」と足音が。

下の階から登ってきているように聞こえてきました。

と、同時に今度は上から「カツンッ、カツンッ、カツンッ」と足音が。

上からも下からも聞こえてきたので『うるさいなぁ』と思いながらタバコを吸っていると、

「カッカッカッカッ」と上の方から音が。

Aさんは誰かが足を踏み外して転んだのではと思い、

急いで上の階に駆け上がりましたが誰もいませんでした。

『あれ?』と思いながら自分がいた階に戻ったそうです。

階段を背に景色を見ながら『何かと聞き間違えたのか』と思っていると、

「カンッ、カンッ、カンッ、カンッ」と

駆け上がっている音が聞こえてきました。

その時、Aさんはもう一本タバコを吸おうと火をつけていたそうです。

「カンッ、カンッ、カンッ、・・・カツンッ」とAさんの後ろで足音が止みました。

階段を背にしていたAさんは『えっ!何?』と振り返ろうとした時、

違和感と同時に寒気に襲われたそうです。

なぜなら音がしているのにAさんはまったく気配が感じ取れなかったからです。

その時、『あっ、今振り向いたらダメだ』と咄嗟に思ったそうです。

「・・・カンッ、カンッ、カンッ、カンッ」とまた駆け上がっていく音が。

Aさんはパニックになりながら中に入ったそうです。

音だけしか聞いていないので何だったのかわからなかったそうですが、

あの足音は一体・・・