Aさんが中学生の時の話です。

その日、Aさんは友達と学校から帰っていました。

いつも通る通学路を何気ない会話をしながら歩いていたそうです。

しばらくすると、あることに違和感に気がついたそうです。

それは友達がずっとしゃべているのです。

独り言ではなく無理矢理会話を引き延ばしているような感じで、

会話が止まりそうになるといきなり「あれ知ってる?」や「あの時さ—――」「そういえば—――」

となんだかAさん自身の気を引こうとしていたそうです。

それとは別にもう一つ違和感がありました。

友達がAさんの左側にいたのですが、

無性に右側の方、誰もいない方が気になって向きたくなったそうです。

ですが、Aさんが右側を向こうとするたびに友達が「でね」や「それでね」と言ってくるのです。

友達の変な行動にAさんは思わず

「どうしたの?さっきからへんだよ」

と訊いたそうです。

友達は

「落ち着いて聞いて。大丈夫って言うまで、こっちを見てて、絶対にそっちを見ないで」と。

突然のことにAさんは困惑しましたが、

友達の言ったように友達の方を見ながら歩いていました。

しばらくすると、友達が「大丈夫」と言いました。

Aさんは何があったのか友達に聞きましたが、

友達は濁すだけで答えてくれませんでした。

今となってはもう真相はわかりません。

ただたんにその友達のごっこ遊びだったのか、単なるイタズラだったのか。

ですがあの時、もしそっちを見ていたらどうなっていたのでしょうか・・・