未怪談 35 脱衣場の足跡

今から30年ほど前のAさんの話です。

高校生だったAさんは夏休みに部活の合宿でとある旅館に泊まったそうです。

合宿での練習は初日で家に逃げ帰りたいほどハードでした。

実際に二人ほど倒れて病院送りにさせられていたそうです。

Aさんはそんな合宿でも唯一楽しみだった時間があったそうです。

それは風呂の時間でした。

その旅館は露天風呂でAさんにとって初めての露天風呂だったそうです。

ある日、Aさんはいつものように露天風呂に入っていました。

夜風にあたり気持ちよくなったAさんは、

練習の疲れもあって風呂に浸かりながら寝てしまったそうです。

しばらくして起きると風呂場には誰もいなかったそうで、

Aさんは慌てて脱衣所に向かったそうです。

体を拭いていると、ふと足元に視線を落としたそうです。

Aさんの両足の前に濡れた足跡があったそうです。

『あれ?』と違和感が。

足跡が他の部員にくらべて異常に小さいのです。

『えっ!?』と思ったそうです。

なぜならその旅館は貸し切りでAさんたち以外お客さんがいなかったからです。

気味が悪くなったAさんは自分の周りを見回しました。

そこには床一面に大小さまざまの足跡がびっしりと。

『脱衣所に入った時・・・なかった!』

異様な光景に恐怖したAさんは半狂乱になりながら脱衣所を後に。

ほぼ全裸の状態でみんなのいる部屋に。

部屋に入るやAさんの姿を見てみんなが爆笑したそうです。

Aさんは今先起こったことをみんなに説明しましたが、

「のぼせただけだろ」とか、

「そりゃみんなが使ってるんだからそうなるだろ」や、

「気のせいだ」と言われ、

みんなからバカにされたそうです。

本当に気のせいだったのか今となってはわかりませんが、

もしかしたら・・・

未怪談 34 招く声

電気工事関係の仕事をしているAさんの話です。

その日、クーラーが壊れたとのことで古いマンションに訪問したそうです。

そのマンションは気味が悪かったそうです。

管理が行き届いていないのか、

照明があちらこちら切れていたり、チカチカ点滅していたり、

全体的に暗かったそうです。

それに掃除をしていないのか、

マンションのいたるところに蜘蛛の巣がはってあったり、

床には無数の虫の死骸やどこから入ったのか落ち葉が散乱していました。

Aさんはこんなところ早く終わらせようと思い、

依頼があった部屋のチャイムを鳴らしたそうですが反応がありません。

「約束の時間なのになぁ」とイライラしながら二回、三回チャイムを鳴らすと中から、

「どうぞ」とはっきりと玄関から男性の低い声が。

「〇〇会社です。クーラーを見に来ました」と言いながらAさんはその部屋に。

中に入りましたが玄関に人はいなかったそうで、

Aさんは「中に入ってもよろしいでしょうか?」と。

しかし、返事がありません。

奥の部屋からテレビの音が微かに聞こえてきました。

『聞こえていないのか?』と思い、もう一度大きな声で「中に入ってもよろしいでしょうか?」と。

反応がありません。

どうしたらいいかAさんは困っていると、玄関がガチャと開きました。

そこにはおばあさんが。

「あんたなんね!勝手に入るな!」とAさんに怒鳴ってきたそうです。

「ご主人がどうぞと言ったので」とAさんは説明するとおばあさんは、

「ふざけたことを言うな。私は一人だ」と。

「どうぞ」という声はテレビの音だったかもしれませんが奥から微かに聞こえる程度だったそうです。

一体誰がAさんに「どうぞ」と言ったのか・・・

未怪談 33 見え方の違い?

Aさんが高校生の時の話です。

その日、Aさんは部活で学校の周りを走っていたそうです。

ランニングが好きではなかったAさんは数人と話しながらグダグダと走っていたので、

先頭集団に追いつかれてしまったそうです。

「次の角にめちゃくちゃかわいい女の子が立ってるぞ」と、

先頭集団の一人がAさんたちを抜き去りながら言ったそうです。

思春期真っ只中のAさんたちは先頭集団についていったそうです。

次の角といっても距離が長く、Aさんたちは息を切らせながら角を曲がりました。

曲がると自動販売機の陰に隠れているように、髪が長く淡い青色の服を着た人が立っていました。

Aさんはチラッと横目で立っている人を見ました。

そこには、自分の母親と同じぐらいの年の女の人が。

しばらく進んで、「話が違う!」と言おうとした時、

「めっちゃかわいい」や「次声かけようかな」という声が。

『えっ。何言ってんの?』とAさんが思った時、

「おばあちゃんじゃないかよ」や「小学生じゃないか」という声が。

その場にいたみんなが「えっ!」となったそうです。

見え方が違ったそうです。

幼い少女に見えた人もいれば、可愛い女の子、おばさん、気味が悪いおばあちゃん。

どうやら、この4つのタイプに見えていたそうです。

少し気味が悪くなりましたが好奇心が勝り、戻って確認しようとなったそうです。

女の人が立っていた場所に戻りましたが、誰もいませんでした。

あの女の人は何だったのでしょうか・・・
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